でこぼこよみもの

人生、山ばかりでも谷ばかりでもなく…という、とある夫婦の話

【9月入学をデータで検証】9月入学のメリットはどのくらいあるのか?

 

この前、9月入学についての話題があったじゃない!?ぶっちゃけ、あれって本当に望んでいる人がどれだけいるのかって不思議に思わない? 

 

確かにね…。でも、わたしはやっぱり色んな意味で日本は桜の時期に入学と卒業を迎えたいって思うのよ! 人からどんなに古い!って言われてもね(*´ω`*) 

 

このコロナの自粛期間中に世の中の意見を二分するようなニュースがありました。

 

そう、「9月入学の導入の是非について」です。

 

この話題は現役の学生さんや親御さんだけでなく、国民一人一人、日本社会全体にかかわるものだと思います。

この背景や是非についての議論をするだけでも、大がかりな内容になってしまいそうなのは目に見えてますのでこういった議論は他の方々にお任せするとして、今回は自分が調べたデータ等を活用し一考してみました(社会的、歴史的、風俗的な視点はほとんど盛り込んでいません。難しい議論は一切排除したつもりです)。

 

その結果、私自身は9月入学はメリットよりもデメリットがはるかに大きいという考えに至りました。

 

以下、なぜ自分がこういった考えにいたったかを述べていきたいと思います。これは単なる一意見にすぎないとも思いますので、目くじらを立てずに参考までに受け止めてもらえば幸いです<(_ _)>

 

 

 

ある視覚障がい者の方のお話

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ちょうど10年前にボコさんとガイドヘルパーの養成研修に行った時のことです。

 

その時の講師である視覚障がい者団体の代表(60代くらいの男性)は、生まれた時からロービジョン(弱視)で、中学校に入学した頃から完全に両目の視力を失ったそうです。

 

養成研修の何日目かに講義の前に穏やかな口調でこんなお話をされました。

 

「私がもしこの市の市長になったら公約としてやりたいことがあります。それは市内の街灯をすべてなくすことです。なぜならそもそも自分たちには必要ないし、夜道が明るかろうが、暗かろうが関係なし、市長ですから市の財政のことも考えなくてはいけない。私はそんな無駄なもの真っ先に無くしますよ。だってそんなのものがあっても税金の無駄使いですからね。」

 

私はその時正直「キツ~い冗談だな」って苦笑いをしてしまいましたが、

 

「今、あなたがた目の見える方がやっているのは、まさに”目が見える者に都合がいい街づくり”なんですよ。私は目が見えませんから当然”目が見えない人に都合がいい街づくり”をします。人間というのはつい自分の都合を優先しがちですからね。」

 

その方は市長になってやると本気で考えているようには到底見えませんでしたが、このブラックジョークにも似たメッセージに私自身深く考えさせられました。 

 

この方のような完全に視力を失った方は現在、日本に約18万8千人(2007年現在)いらっしゃるそうです。

これは、当時の人口の約0.15%です。

日本国内で全く目が見えない方は1000人あたり1~2人ですね。

  

因みに2019年に日本国内でがんで亡くなった方は約38万人で人口の0.3%(全人口の1000人に3人程度)、同じく昨年の交通事故の死亡者数でしたら0.003%(10万人に3人程度)、

ジャンボ宝くじなどの高額宝くじの当選確率でしたら1000万分の1だそうです。(1枚300円として3億円投資して10万枚買ったとしても当選確率は10分の1です!)←計算をしてみて個人的に一番衝撃を受けたのはこれでした(笑)

 

実際、計算して数字にしてみるとおもしろい発見がありますね。

 

これらだいたいの数字を頭の片隅に置いて次の数字と比較してみましょう。

 

 

大学生の海外留学の驚くべき真実

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さて9月入学の賛成派の意見として多いのはグローバルスタンダードを意識して欧米に倣えということでしょう(この論調は明治時代から2020年に至るまで日本のエリート層のお家芸ですね)。現役の学生の方が海外留学をしやすいように、または海外からの留学生を呼び込みやすくするために、いっそのことこの時期に一気に9月入学へ変えてしまった方がいいんじゃないか!?という気運も一部ではあります(こちらの意味合いの方が強いかもです!)。

実際のところ、現代日本の学生の海外留学者、そして外国からの留学者はどのくらいなのでしょうか?

 

詳しくは以下のサイトを確認していただければと思います⇩

 

2018(平成 30)年度 日本人学生留学状況調査結果

独立行政法人 日本学生支援機構による調査

 

独立行政法人日本学生支援機構

 

日本人学生の海外留学生数

https://www.jasso.go.jp/about/statistics/intl_student_s/__icsFiles/afieldfile/2020/04/21/datar01n.pdf

 

在日外国人の留学生数

https://www.jasso.go.jp/about/statistics/intl_student_e/2018/__icsFiles/afieldfile/2019/01/16/datah30z1.pdf

 

この調査によりますと、

2018年の日本から海外への留学者数は115,146人で、海外からの留学生の数は298,980人です。(上記調べより)

 

9月入学にするメリットはどちらかというと、現在の高校生や大学生の事情に即したというより、いかに外国人の留学生(90%以上はアジア圏から)を呼び込みやすくするかということに主眼が置かれているように見受けられます。

 

また、留学と一口で言っても実際に多いのは1ヶ月未満や数か月程度の短期留学者が多く(76,545人)、このような留学は在学中の交換留学制度を利用したものがほとんどでしょうし、海外に1年以上留学している日本人学生の数は2,034人(2018年)です。

 

仮に日本の大学生の総数は約290万(2018年)ですから、この年に1ヶ月未満でも海外留学した経験のある学生の割合は全体の約4%でした。

しかし、留学生のボリュームが一番多いのはこの1ヶ月未満の層(全体の2.6%)で、1年以上(本格的な留学をしているゾーン)で計算すると0.07%となります。現役の学生さんの中で考えるとたった1万人中7人の確率ですね。

 

実際調べて(しかも一番手軽な方法で)、計算してみて驚きました。、留学をしている方はこんなに少ないんだというのが私の率直な感想でした。「9月入学」を議論すること自体は私も賛成です。ただ、今のこの社会状況下で全国民に直接的間接的に影響が出るこの問題を早急に結論付けて強引に推し進めるのはどうなのかなという思いはあります。また私の思いだけではなく、客観的にデータを見て全体を俯瞰してどう最適化するがいいかは自明の理だと思います。

 

 

9月入学って本当に必要なのか?

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心情的な理由で9月入学に賛成できない方も多いかと思いますが、実際、現役の学生さんや親御さんで、9月入学を積極的に歓迎する方々はどのくらいいるのだろうか正直疑問に思ったのが今回のこの調査の動機でした。実際様々な意見があり、それを目にする限りでは「一筋縄ではいかないな」というのが私の感想です。

 

私も当初、「9月入学」についてはさほど抵抗なく”グローバルスタンダードに合わせる”などの”印象の良さ”だけに着目してしまい、「この機会なら変えてもいいのでは…」くらいに思っていましたが、よくよく精査すると、予想以上に多大な混乱や影響が生じるだけでなく、大げさではなく全国民をも巻き込む一大改革だと思いました。一連の安倍内閣と検察庁人事の問題なんかも一気に吹き飛ぶくらいのことなのです。なにせ明治時代以来のことですから。

 

「グローバルスタンダード=海外留学の選択を広げるために必要な9月入学への移行」を声高に主張する一部政治家の発言は現役の学生の留学事情を考えると(一年以上の留学者の割合は全学生の10,000人に7人)実情からかなりかけ離れており、ある意味では先ほどの全盲の方(国内で1,000人あたり1~2人いる)が仰った「目の見えない人に都合がいい街づくり」の方が数字で判断する限りはるかに合理的であると言えます。

 

しかも、「9月入学」に移行することで高校生や大学生だけではなく、保育園、幼稚園、小中学校、はたまた企業への就職にも関係してきますので(なんだかんだ言っても未だに大企業に就職するかどうかや新卒採用か否かはその後の人生に大きな影響を与えるのも事実です)、国民的なコンセンサスも得ずに、数か月で結論を出して実行をするものでもないと私は強く思います。  

 

どういった状況でも留学をする方はするし、関心がないとか自分には関係ないと思っている方は留学なんてしないだろうし、仮に9月入学を実施するとしても、そうすることで海外留学をしたいと考える学生や海外からの留学者数が爆増するという根拠はどこにあるのでしょうか?9月入学にすることで国際競争力が身に着けられるのでしょうか?そもそも、今後も日本は外国人留学生に選ばれ続ける国になり得るのでしょうか。正直なところほとんど変化はしないと私は考えています。

  

くり返しますが、以上の理由で私自身は9月入学はメリットよりもデメリットがはるかに大きいと考えています。

 

  

 事実に即した検証をしてみる

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2000年前後からインターネットが一般にも普及、発展して約20年以上になります。その間に私たちが身近で触れる事ができる情報が圧倒的に増えました。

その膨大な情報の洪水の中で、私たちはどうしてもSNSでの書き込みやマスコミ報道が繰り返しされることで、その具体的な内容を深く考えることなく影響されてしまい、その時々の”印象”や”なんとなくのイメージ”で物事を判断しがちなのではないでしょうか。

 

日本中や世界中遠くの方と気軽にやり取りができるようになった一方で、悲しいことに自分の何気なく放った一言が人を死に追いやることも可能になってしまいました。

 

その時にちょっと立ち止まって、印象や自分の感情だけで判断せずに単純な数字データで検証するのも一つの有効な方法だと私は考えます。

「SNSやテレビではこういっているけど、なぜこんなことを言うのか、そもそも本当のことなのか?」

 

これから、こういう検証をすることはとても大事になってくるかと思います。

 

ちなみに数値データはすべてスマホで検索してトップページで表示したサイトのものを参考にしました。最初は自分としても「そんな簡単な方法でどこまでわかるのかな」と半信半疑でしたが、いざやってみると簡単でした(笑)。 

今度やる機会があったら、もっと精度を上げていこうと思います(^^;)

 

 

【世の中の事実を正確に見るのがいかに難しいかを教えてくれる本】 

 

では、また次回(^^)/