【NHK発達障害週間】~「本・僕は発達凸凹の大学生」を読んで発達障害・発達凸凹について考える~
この記事は、3回のシリーズで投稿したものをこの記事で1つにまとめてお届けしています。2020年2月28日最終更新。
みなさんは「発達凸凹」という言葉をご存じですか?
わたしたちのブログタイトルにも「凸凹」という文字を使っていますが、(以前は凸でこぼこよみもの凹というタイトルでした)実はブログを始めるまで「発達凸凹」という言葉を知りませんでした。
ブログを始めるにあたり、Googleで「でこぼこよみもの」と検索し、そこで初めて「でこぼこ」が何らかの障がいを表すものとして使われることがあると知ったのです。
そこで、私たちは発達障害とはどういうものか?発達凸凹とはどういうものか?」ということについて、NHKで特集されていた『発達障害週間』という番組の内容と、学んでみて出合った1冊の本について考えてみました。
目次
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NHK発達障害週間
NHKさんが、「発達障害って何だろう」ということで2019年10月下旬から【特集】を放送していました。
特集ページはこちら ⇩
でこぼこ夫婦は、発達障害についてあまり知識がなかったので、少しずつ見たり読んだりして共感・理解を深めていきました。
NHKのサイトによると、「発達障害とは、生まれつきの脳機能の発達のアンバランスさ・凸凹(でこぼこ)によって、社会生活に困難が発生する障害のこと」と説明しています。
誰もが、得意なこと(凸)、苦手なこと(凹)があると思います。そして発達障がいのある方々は、その得意なこと(凸)、苦手なこと(凹)の度合いが極端に出てしまうことがあり、その度合いによっては生活に支障が出るほどになっている方もいらっしゃるそうです。
発達障がいの種類・症状について詳しくはこちらをご覧ください。⇩
NHKの「あさイチ」(NHK総合テレビ 毎週(月)~(金) 朝8:15から9:45まで生放送)では、そういった困りごとを抱えた方々への対処法(トリセツ)を知っていると、当事者はもちろん、周囲の人々も楽に生活することができるということで、2017年から困りごとの「トリセツ」を募集し、3000件も集まっているそうです。
例えば、「感情をコントロールできない」という困りごとに対しての対処法は、
- 静かな場所に移動
- 気持ちを紙に書き出す
- 好きな音楽や香りで気分を切り替える
などが紹介されています。
その困りごとのトリセツページはこちら ⇩
学校での困りごと、職場での困りごとなども紹介されていますので多くの方々の参考になるのではないでしょうか。
今回、特集の番組を出来る限り視聴してみました。そこで感じたことは、「多くの人々にもそれなりに同じような症状があるのではないか」ということです。
実際に、現在のわたしもマルチタスクが苦手だったり、大勢での雑談が苦手だったり、むかし誤解されやすいと言われたこともありました。
もしかしたら、今まで平凡に生活してこれたのは、環境や周囲の人々に恵まれたからなのかもしれません。平凡に勉強し、平凡に友人たちと遊び、平凡にそれなりに大企業に就職して社会人生活を楽しんだ時期もあり、平凡に恋愛をして、平凡に結婚をして…。50年間生きているので時にはとても辛く自分というものがわからなくなって苦しんだこともありました。でも、今、こうして小さなことでも幸せを感じ、小さなことに楽しみをみつけ、ブログを読んだり投稿したりできているのはやっぱり周囲の人々のおかげなんだと実感できました。
「凸凹は、歩みよって ▢ になり、一緒に転がり ◯ になって、楽に自由に進むことができる」
これは、でこぼこ夫婦が目標としている言葉ですが、このブログのデコとボコが一緒になっているアイコンにはそんな意味が込められているのです。
今回、色々と発達障害に関する番組を視聴してみて、ただ冷静に、普通に考えると凸凹な人がいてもおかしくないよね? 凸凹だっていいんじゃない? と、つくづく思いました。そして、発達障害を抱えるお子様のいる家族をいくつか拝見し、発達障害を持つお子様に対し、継続して見守る長い目と子供のことを一番に考える心の深さ大きさ、その親御さんの歩み寄りがきちんと子供に伝わっているということに感動し、心から「よかったね」と安堵しました。また、同じ障がいを抱えるお子様をもつ保護者の方同士が共感できるコミュニティ「話せる場所があることで心が落ち着く心地よい場所」があるということに、あたたかい歩み寄りを感じ、心強さも感じます。
わたしたちは、今、同じ時代を人間関係なくして生きていくことは出来ません。この『NHK発達障害週間』で紹介しているトリセツは少なからず皆にあてはまり、役に立つものであるように思いました。
また、『NHK発達障害週間』をきっかけに、なぜ凸凹という言葉が使われるようになったのかを遡ってみることにしました。
そこで、1冊の本と出合いましたのでご紹介したいと思います。
1冊の本との出合いー僕は発達凸凹の大学生ー
【僕は発達凸凹の大学生ー「発達障害」を超えてー】は、発達障がいの当事者である山田隆一さんの体験をもとにして作られたフィクションの自伝的小説です。 ⇩
まず、山田さんは本の中で「発達障害」ではなく、「発達症」という呼称を用いていることをご紹介しておきます。
山田さんは、本の中で「得意なこと・強みを凸」「苦手なこと・弱みを凹」として、様々な体験を通じ、本当に自分自身のことを良く観察・自己分析されていると思いました。そして、葛藤の末その自分自身を認めて、受け入れて生きているのだということが、文章の表現から感じとることができます。
本は、過去の出来事を振り返りながら進んでいきます。山田さんの言葉にこのような文章がありました。
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「この時期のことを思い出すだけで心が痛いため、今は深く掘り下げることはできない」
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「辛いことだらけだったが、ここでの経験を否定はしない」
本当に真剣に、ご自身の人生と向き合いながらこの本を制作されたのでしょう。
「僕は、周りと何か違う」と感じ、コミュニケーションが苦手で、人の気持ちをうまく感じ取ることができなかった青年が、進学校から通信制高校、大学進学、留学と進んでいく間に、様々な出会いと経験を経て「狭い世界から広い世界へ、広い世界から狭い世界へを行き来して自分をみつめて成長していく姿に、わたしも心が動かされ気がつくと目頭が熱く感じたことがありました。
NHKの発達障害特集ページの中に、発達障害は「周囲から見えにくい障害」だという説明があります。
発達障害が説明されているサイトはこちら ⇩
人は、他人の心の中をすべて理解することは出来ません。大切な人のことを知りたいと思ってもすべてを知ることは出来ないのです。
だからこそ、あたり前ですが相手のことを慮る、信じることが大切なのではないでしょうか。
山田さんも辛い少年時代を振り返りこのように語っています。
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「全ての人が好むものは存在しない」という問題を考える必要があるものと思われる。
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「なかには苦手な人もいる」と柔軟に考える姿勢が求められる。
集団生活では、「すべての人の意見が一致」し、「すべての人の意見を通す」ことはできません。
ですが、一人ひとりが「全ての人が好むものは存在しない」「なかには苦手な人もいる」と少しでも考え、歩み寄ることができたら、意見は通らずとも心は十分に満足できる関係を作りあげることができるかもしれないと考えます。
そんなことできるわけない!といった意見も聞こえてきそうですが、まずは一歩、できるかも!と信じてみることから始めていきたいと思います。
山田さんは辛い出来事が続いていた学生時代、狭い世界にいると感じたこともあったかもしれませんが、その狭い世界から違った世界に飛び込んだことで、きっと今まで知らなかった広い世界を知ることができたことでしょう。同じ時間・空間に存在していて、「自分は狭い世界にいる」、「自分は広い世界にいる」と感じることがあっても、実際はまったく逆なのかもしれない。みかたを変えると逆の立場になり得るのです。
これは、発達症のあるなしに拘らず、すべての人に通ずることなのではないでしょうか。
「ーあなたのいる世界は本当に狭いのか、あなたのいる世界は本当に広いのかー」
これは、わたしが考え事をしながら、ぼーっと空を眺めていた時にふと思いついた言葉です。
時折、ふと立ち止まって見渡してみたいと思いました。
それぞれの立場で心がけると望ましいこと
【僕は発達凸凹の大学生ー「発達障害」を超えてー】の著者である山田さんが本の中で語られている「それぞれの立場で心がけると望ましいこと」についてご紹介します。
まず、山田さんは【僕は発達凸凹の大学生ー「発達障害」を超えてー】の本の最後をこのように締めくくっています。
「お互いの個性を尊重しあえる社会へ」
個性を認められずに生きづらさを抱えてしまっている人々の中には、 斬新な発想をする方がいるかもしれない。そして、その独自の視点で社会をより良いものにして、教科書に載っているような偉人になっている人もいる。皆が互いに尊重できる社会になると、そういった方々がその非凡な考え方で社会を良い方向に変えていき、皆にとって有益でより生きやすい社会につながるかもしれない
「最も気をつけてほしいこと」
「僕だけの言葉を鵜呑みにせず、幅広い人々の意見を聞きながら、自分がしっくりくるものを取り入れて、自ら考えて行動していくことがなによりも大事」
それでは、さっそくお互いの個性を尊重しあえる社会になるために、「それぞれの立場で心がけると望ましいこと」について見ていきましょう。
山田さんは、それぞれの立場というものを6項目に分けて述べています。順を追って見ていきます。
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当事者
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知人・友人
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職場の同僚
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教育関係者
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保護者
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当事者同士
1.当事者の立場「 なによりも、まずは当事者自身が考えることが大事」
周囲の方々の配慮を求める前に、まずは当事者自身が心掛けること3つをあげています。
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自己分析・・・「得意、不得意」「好き、嫌い」を知る
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自分を知り、受け入れる
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自分の得意・強みを伸ばし自信をつける
何もかもを発達症の原因にするのではなく、出来る範囲のことを自ら努力して行い、困難な部分について配慮や支援を求めること。そして、求める側も配慮する側もお互い謙虚な姿勢でいることが大切である。
2.知人・友人の立場「個性を尊重する姿勢を持つ」
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自己分析をする・・・自らの個性を深く理解すると、他人の凹とみられるような個性に寛容になる
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インターネット上での言葉の誤用に気をつける。
言葉の誤用により、とても悲しい気持ちになる人がいる。軽々しく使うべきではない言葉がある。
3・職場の同僚の立場「極端に苦手な作業をさせていないか考える」
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得意な作業は人一倍の集中力を発揮でき、重要な戦力となりうる
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暗黙の了解がわからないことがあるため、指示は具体的な言葉で伝えることが大切
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作業時間外の人間関係についての考慮(飲み会や行事などへの参加について)
日本の職場では、臨機応変に幅広い分野の作業を求められること多いが、この環境を苦手とする当事者は困難を抱えて退職してしまう。そして、苦手なことが多くある当事者は働く場を見つけることに関してつまずいてしまう。
4.教育関係者の立場「柔軟な考えと合理的配慮をする姿勢が大切」
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学生の個性を尊重し、それぞれに合った教え方をする
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「他の学生と同じ方法ではどうしてもうまくいかない学生もいる」この事実を知っておく必要がある
十人十色の学生に対応するのは難しいと承知しているが、大きな問題を抱えてしまう学生については柔軟な対応、合理的配慮をする姿勢が大切である。
5.保護者の立場「心配な面があれば、できるだけ早く専門機関への相談を」
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他の子どもと比較しない
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可能な限り子どものありのままの個性を受け入れる
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その子に合った教育を日々行う
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長所凸を見つけてどんどん伸ばす
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子どもの相談に積極的に耳を傾け、解決が困難な場合は発達症に理解のある医師や専門機関に相談する
できるだけ早い時期に相談し、診断を受けることができれば、学校に馴染めない原因がわかり、周りの方々は精神的に楽になる。
6.当事者同士の立場「お互いを理解し認め合う姿勢が大事」
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当事者同士であっても、凸凹具合が違うため理解が難しい
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個性が強い者同士のため、極端に合わないこともある
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お互いの特性を受け入れて、理解するよう努める
人づきあいにそれほど問題を抱えていない当事者の方を羨ましく思ってしまうこともあるが、この気持ちを抑えながらお互いを理解し認め合う姿勢が大切と考える。
【NHK発達障害週間】を通しての感想
今回、『NHKの発達障害週間』をきっかけに自分なりに発達障害というものについて色々と考えてみました。総じて、程度の違いはもちろんありますが、すべての方々にあてはまるテーマであると言えます。なにかと忙しく過ぎ去る時代、人々の交流も希薄になり、刹那的な生き方を目にする毎日に、少しでもこの本の持つ種が蒔かれ広まっていくことで、自分を含む多くの人々が「お互いの個性を尊重しあえる社会」を感じることができればと願います。
つい先日、元KARAのク・ハラさんが亡くなりました。
韓国では、ネット上での誹謗中傷で死まで追い詰める「指殺人」=ネット上の悪意のある書き込み、という言葉があるらしい。
インターネット上では、それぞれの言葉でそれぞれの思うことを表現するのは自由ですが、リアルタイムで対話をすることができない分、自分の意見の追加・訂正ができないという、ある意味とても高度なコミュニケーションの場であると思います。もともと人づきあいの苦手な自分などは、このブログ一つの記事を作成するにも慎重になってしまいます。
お互いが「お互いの個性を尊重しあえる社会」の方向へ前を向いていくことで、こういった痛ましい事柄は防ぐことができるはずだと誰しもがわかっているはずと思う。
「ー活字の向こうに思いを馳せる、己を知ることが求められる時代ー」
「お互いの個性を尊重しあえる社会」の実現には、山田さんも述べていた通り、まずは自己分析、自分を知ることから始まるのだとあらためて思いました。
この記事では、『NHK発達障害週間』と【僕は発達凸凹の大学生ー「発達障害」を超えて】についての紹介と感想をご紹介しました。
わたしがこの本から取り上げた内容や感想は、ほんの一部であり、わたし自身の主観によるものです。
ぜひ、多くの方々がこの本を手に取り、自分自身を見つめ、自分自身を知るきっかけとなりますように。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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