【介護のお話】肉を食べる時に何を使って食べますか? やっぱり、ナイフとフォークですか?
私はケアマネジャーをしていて、日々介護が必要な高齢者の方々と接する機会が多いです。
昨日、会社の研修で講師の先生がこんなことを言われました。
「皆さんは肉を食べる時何を使って食べますか? やっぱり、ナイフとフォークですかね?」
私を含め数人いる同僚のケアマネもほぼ、そのように考えていたと思います。
「そりゃ、そうだろ! それにしても、たまに肉食うのもいいなあ」
私が余計なことまで考えていた数秒後、先生はこのように話されました。
「実は、私は肉を食べる時、はさみを使って肉を切りながら、カットした肉を箸でつまんで食べるようにするんです。こういう風に、何か行動をする時は必ず、その人なりの常識とか固定観念があるので、誰かを介護するって時は介護する立場の人間の考えで、介護をしがちになるんですよね。」
さらに続けて、
「ここで大事なのは、肉を食べるって行為はこのナイフとフォークを使うのも含めたことなんですよね。ですから、私の場合は自分ではさみを使って肉を切りながら、カットした肉を箸を使って食べることなんです。肉を食べるってそういうことじゃないかと思うんです。」
これが介護でいうところの「自立支援」「尊厳の保持」ってやつなんだと改めて思いました。
ムズカシイ言葉ではなく介護というのは日々のリアルそのものですし、はっきり言って支える側、支えられる側のどちらも、人間の生きている苦痛・苦悩を実感してしまう場です。しかも、当事者や家族はその状況からを逃げたくても、逃げられないのです。
また、その先生はこうも言っていました。
「車いすに座っている人が右や左に傾いたり、背中が曲がっているためずり落ちそうになっているのを見て大概の人は、”まっすぐ座らせないと”と考えて、その人の傾きを直したり、ずり落ちそうな人を車いすに”ちゃんと”座らせようとするのですが、これは介護する側の考えでそのようにしてるだけなんですよね。”その方が安全で楽な姿勢のように見える”ってことで。でも、介護されている方からすると”なんか気持ち悪い”と感じるからすぐ自分がいいように動いちゃうんで、しばらく目を離したりなんかすると、また体が曲がっていたり、ずり落ちそうになったりしてしまいますよね。」
また続けて、
「あたり前ですよね。その人にはその人なり”体の使い方の癖があって、良し悪しだけでは測れない生活の積み重ねがある。その結果、そういった体になっているんですから。本当にその人がいいように過ごす介護をするにはその人なりの体の”よじれ”を意識してください。」
うーん、「その人なりの体のよじれか…」
研修の時、私はモデルにもなって、車いすに日常生活で座るさまざまなやり方で座ってみました。
”正しい姿勢”で座った時は、ちゃんと座れた感じがしまいしたが、ほんの数秒後にはやっぱり違和感があり、少しおしりを1~2cm程度ずらしてしました。しまいには、楽にかつ出来る限りキチンと座ったつもりの姿勢が・・・
「腰骨が曲がってますね」
とあっさりと先生に言われ、同僚にもクスクス笑われてしまいました。
自分のいいと思っていることと相手にとってこれがいい思うこととのギャップって想像以上にあるんだと正に身をもって感じてしまいました。
肉を食べる時は、ナイフとフォークがいい人もいれば、はさみと箸がいい人もいる。
正しい座った位置から1~2cmずらした位置が自分のベストポジションだった。
そんな自分が当たり前だと思っていることが他人にとって当たり前ではないことに気づくって意外に難しいという当たり前の結論に至った出来事でした。
明日も、素敵な一日でありますように!
使いやすい人には使いやすいスプーンです! 介護が必要になった方へ…
老猫や老犬の介護食用に最適なスプーンはいかがですか?
スポンサーリンク